廃道・廃線レポート ~国道145号旧道・吾妻線旧線区間 [3]~
壁の正体
現在地はここ!
実は地図に書かれていない部分がある. というのが,
この橋だ. 近くに民家はあるが, ここはまだ通行止めである.
手前から左奥に続いているのが,
前回のこの坂道を登ってきたときの道だ. さて, 橋の上に立とう.
これしか写真がなかったけど, 全然完成してないし, 橋の先普通に民家あるし, 退去してなさそうだし, 向こう側, 全くと言っていいほど延伸してないし. そして反対側は…
壁だ! 壁! 道作る気なのか! 将来的にここが道になってガードレールがついて, 工事で荒れた部分に木やら植物が育てば, という状況を想像してみれば, ただただ路肩が崖っぷちのありがちな山道, と見做せなくもなさそう? この壁の奥の方を見れば何やら道が続いていそうだし, そういうことなのかな. 興味がないと言ってしまえばおしまいだが, ダムが完成すれば自然とわかりそうなことなので, 特に深入りするつもりはない. にしてもこの程度の進捗でいいのだろうか, という気はする.
さて, さっきの道をもう少し上ってみよう.
思いがけなさすぎる発見
ほんっとうに少し進んだだけだが…
わかりますか?
竪…多分この形と竪という漢字から熟語を思い浮かべられる人がいるはず.
そう!!!!!
竪坑!!!!!!!!
まあ聞いたことない人がほとんどでしょう. 竪坑とは何か.
僕も鉱山, 坑道はまだ訪れたことがないので, 調べたほうが正確な情報を得られるとは思うのですが,
竪坑とは地表から坑内に垂直(またはそれに近い角度)で設けられた抗のこと. 普通みんながイメージする坑道はトンネルのようなものをイメージすると思うが, もちろんそれはそうである. ただ, 地中深くにある場合や, 物資の運搬のために竪坑を設けて通気口としての役割, 昇降機(= エレベーター)を設置して物資や人員を運搬, 移動させる役割がある. そのため, 現役の竪坑は櫓が組まれ, 大きな建造物である. また, 坑道が並行して何層にも連なっている場合, 竪坑でその坑道を繋げている. 深さで言うと100mは優に超えるものが多い. 日本では900m, 海外では3000mが最深である. ちなみに, 井戸の深さは30 ~ 40mである. 直径は5 ~ 10mほど. 史跡としては福岡の旧志免鉱業所竪坑櫓(しめこうぎょうしょたてこうやぐら)などが有名.
もちろん, 竪坑は興味深いものですけど, 安全性が保障されない竪坑は危険そのものです. 落ちてしまえば命はありません.
http://ruin-explorer.com/danger/danger.html
遺跡調査機構というサイトの一部なのですが, ここを見てみればわかると思います.
若干の脅しをかけていますが, 別にこの竪坑は問題ないです. ただ, 別の問題があって,
この辺鉱山あるの?
ということで, とりあえずネットで調べてみるが, ここ長野原町には鉱山はなさそうだ.
付近の草津や嬬恋に硫黄鉱, 鉄鉱はあり, 未成線ではあるが, 長野原草津口駅付近に嬬恋を起点とする鉱石輸送鉄道の未成隧道がある. だが, わざわざここに竪坑を作る理由はない. では何か別に理由があるのだろうか?
長野原町にメールし, 話を伺ってみることにした. 回答があり次第また情報を更新させようと思う. (ほんとは自分で出向きたいけど, 少し投げやりになっているようで申し訳ない気持ちがある)
2019/09/04 追記!!!
長野原町から回答をいただいた!!! ここに本文を略して転載する.
~前略~
「滝ノ沢竪坑」について、文化財担当等に聞いてみたところ鉱山関係のものでなく、
東京電力で管理する水路管理用の竪坑とのことでした。
~後略~
もちろん込み入ったことは訊けないので, とりあえずの用途を聞いただけだが, 水路が走っていたのか! っとここで, 奥の手を利用してみる, というのは国土地理院の閲覧サービスである. 現在地を示すくらいならGoogle Mapでいいかとサボっていたが, 詳細に地図を見るなら圧倒的に国土地理院である. そういえば国土地理院地図は水路まで表示してくれるようだったのを何となく思い出して, 使ってみることにした. 結果的には大当たりであるのだが…,
まずGoogle Mapで見るとこの辺りが滝ノ沢竪坑.
そして国土地理院地図でみると…
ああああああああ!!!!! 水路いるじゃん!!! 思いっきり吾妻川に放流されてるじゃん!!!
右下のほうにある発電所の地図記号は, 実は発電所ではなく, 変電所である. 次回の記事に軽く触れた程度だが記述があるはず.
水路用竪坑について調べてみると, そういえば春日部の首都圏外郭放水路に竪坑がたくさんあるじゃない. あとは宇治にも宇治発電所の導水路に続く竪坑があるらしい.
そうか, 地下水路だからたしかに管理用だったりの目的で竪坑はあって当然だなぁ.
というか, 地図を見ると, 滝ノ沢竪坑に限らず, 吾妻川に放流される何らかの水路はたくさんあるようだ. ただ, まだ疑問に残っているのは発電に関する水路だとして, 周りに発電所がないのである. この辺りには吾妻川を水系にもつ水路式発電所が多く建設されているが, この竪坑付近には見当たらない. もう少し話を伺ってみることにする.
(以上追記)
とりあえずこれは保留して, 次に進もう.
関係者以外通行ご遠慮ください
竪坑を見つける前にくぐった橋があるのだが, それは建設中の橋であり, それはもともとの町道の橋の架け替えのようだ. じゃあここら辺はやっぱ退去しないんだな. でも国道145号はおそらく機能させないだろうし, じゃあさっき上ってきたあの坂は何らかの廃道化工事が行われたりするのだろうか…
滝ノ沢竪坑のすぐ近くには湧水があった.
ここで水を補給し, 頭から水をかぶった. 旧道の脇を流れ, 八ッ場ダムにせき止められる吾妻川はかつて, 上流の草津温泉や万座温泉を原因とする強酸性の水質により, 魚が棲みつかなかったことがあったらしい. 現在は中和する工場があり, 水質は安定しているが, この近辺の手のくわえられていない地下水系は大丈夫か少し心配だったので, 少し舐めて確認してから飲んだ(ただのビビり).
ここら辺は複雑なので, 現在地を詳細に伝えることにする, というわけで, 現在地は
ここ!
っと待てよ? 県道376号の橋の下になんか途中で寸断されてる道がある. というのが,
この風景. これは現在地で北側を向いて撮った道. ここをしばらく登っていくと道が終わるはず. もう少し進むと木でできた神社か何かへの案内標があり, それは小さな石段で山中へ伸びていた. そして道路の続きは…
関係者以外通行ご遠慮ください
工事関係者以外立入禁止
少し言葉が厳しくなったな. そして驚くほど激坂. 僕はロードだから登れたけど, マウンテンで来た同行者は歩いて登ってきた.
ん~, これ以上は自転車置いて徒歩だな.
ちなみに, スマホで現在地を確認しておいたのだが,
ここら辺らしい. あと100mくらいか.
埋もれた立ち入り禁止柵. 大分経ってるな.
この先はもう無理そう. 位置としては, 先ほどのスマホの現在地情報からほんの30mくらい進んだだけで, まだ県道と交差してない.
ガードレールないし, この植物の生え方からしてそもそもこの先アスファルト敷かれてないし, 平場ではあるけど, 道だとしたらたぶん工事用道路がせいぜい. スマホのスクショを見ればわかる通り, この道を進んでも橋をくぐることになるのだが, この橋, 目線より少し上に欄干あるし, 橋の構造の下部って多分目線とほとんど同じ高さでしょ. しかも,
https://www.google.co.jp/maps/@36.5457894,138.6677726,239m/data=!3m1!1e3!5m2!1e4!1e2?hl=ja
この道, 橋の「付け根」と交差してるじゃん.
じゃあ橋の工事用道路かな? といいたいところだが, 地図に道として線が描かれているのが気になる. ストリートビューの撮影で道が見えるから航空写真でここら辺にも道あるだろって勝手に線書いてるだけかな…
にしても橋の竣工年度を調べに行かなかったのは猛省するべきであるな.
戻ろう, 先に進むべきだ.
下り. めちゃくちゃスピード出る. 奥に橋が見える. あの橋と同じくらいの高さまで登ってくんだよこの道.
今回はここら辺にしよう. 全然進んでないけど…
今回は位置関係がわかりにくかったかもしれません, SNSで気軽に聞いてください.
次回もたぶんあんま進まない…?