廃道・廃線レポート ~国道145号旧道・吾妻線旧線区間 [8]~
十字路を左
前回は
この交差点に行きついたところで終わったのだが, これがどこに位置しているかというと,
中央の, 第一小学校入り口とやらである. 間違いなく今は入り口ではない.
県道375号が吾妻川をまたいでいるが, 丸岩大橋と併せ, これもダムによる水没地をまたぐように作った不動大橋である. 僕らが今いる旧国道の上を通っている.
ということで, この交差点を左にいくと,
こんな感じ. これは振り返った写真である. 左上側の道から来た. 高く上を通るのは件の不動大橋である. ちなみにこの写真の反対側は
このように瀑布ができている. しかも, どこから流れてきているかというと, 何らかの暗渠からである. その上はダムのための整地が入っている. 不思議な感じもするが, まあまあ, ストリートビューで見てみよう.
これは交差点から左に入って間もない位置である. まずもうおかしい. 木が多すぎる. このストリートビューは2014年7月のもので, 旧国道が現役を退いたのが2014年末のことであるから, まだ現役である. もう少し奥へはいると,
あっ, ある. ズームしてみると, もともと暗渠も存在していたようだが…, それよりも,
景色おかしくね??
これがほとんど同じ景色だろう. そもそも斜面の植生についてはこんな裸になっているはずがないので, 整地に際して植物の伐採が行われていることは容易に想像がつくし, 暗渠の上の石積みもV字で, これも人工的に切り開かれていることは容易に想像がつく. だが, ここに生えているものが杉やらなにやらの高木だとは全く想像がつかない. 実は, この暗渠を確認しようと, 国土地理院の地図を見たところ, この一帯は広葉樹林, 針葉樹林が生えているとの地図記号からの情報だったが, 適当な補填かとばかり思っていたのだった. ここも水没するとは思われるが, ここまでしっかりと樹木の伐採が行われているのか…, 建設中のダムに近づくのは初めてだし, どのようにしてダムの建設が進んでいくのかはよく知らない. (いや, 調べるべきなのだが)
ちなみに八ッ場ダム周辺は一定数の観光客がおり, 不動大橋を渡っている人も少なからずいた. 彼らが何を見ているかというと, 当然ダムにより水面下に沈む景色であるから, そこをズカズカと踏破していく僕らは彼らからしっかりと見えているし, ある程度の声でしゃべっていればそれすら聞こえている. とりあえず怪しまれない程度の行動を「心がけようと心がけた」.
ひととおりびっくりしたところで, まずは下の道へ降りてみよう.
下側の道はこれでもかというほどボロボロである. アスファルトはところどころ剥がれ, 砂利が多く散らばっている. だが, これは壮観である. 橋が三重!!!
手前の橋は吾妻線の旧線跡の橋, 一つ奥の緑の橋は, 旧国道の歩道橋で, その奥は車道の橋である. そして高い位置にあるのが不動大橋.
御覧の通り道はボロボロだ. 実はここは工事用道路であり, この先は未舗装である.
トラックが通っていたのだろうから, こんなになってしまうのもうなずける.
そして今気づいたのだが, 道路橋の手前と奥で構造が違う. 手前がコンクリート橋なのに対し, 奥は鉄橋である. ストリートビューで道路のほうを見てみようじゃないか.
これは先ほど来た方向を向いたものなのであるが, 確かに構造が分かれているところがはっきりとわかる!!! 何を基準に見ているかというと,
・橋の継ぎ目
・欄干
この二つである. 鉄橋はすべてが鉄でできているわけではないにせよ, 鋼, すなわち金属でできている. 金属は温度による膨張が激しいため, このように継ぎ目を作ってあげなければならない. 鉄道のレーの継ぎ目に隙間があったり, 電線が弛みを持っているのと同様なのだ.
しっかり継ぎ目が見える, ここが境目である.
続いて欄干. 欄干が違うという単純な理由ではあるが, 歩道橋はすでに
このように機能しなくなっているので, 鉄橋側に歩道を設けたかったのだろうか.
このような明確な違いがある. 欄干からして, コンクリート橋が先にできた印象があるが, かつては(僕らが来た方向から見て)右折方向の橋がなかったのだろうか.
(画面左奥に伸びるのが「右折方向の橋」)
これを架けたことにより, 右折レーンの必要が生じ, 道路を拡幅, 歩道橋を併設, という流れが自然な気はするが, 疑問が地味すぎて解決のしようがない(低脳).
さて, 例の道路に戻ろう.
振り返ればこの通り, ここは坂の一番下の位置なので, 泥がたまってしまう.
前日は雨が降っていてこのとおりぐっちゃぐちゃだった.
ん? この足跡は僕らのじゃありませんよ, 何の足跡でしょうね(とぼけ). 少なくとも一枚目には蹄の跡が見えますね.
その奥はこのように再びアスファルトが顔を出しているが, この道は川岸に近づくための道で, しばらくするとまた未舗装になる. そしてぐるっと回って旧国道のどこかで合流していた気がする. Google Mapには載っていない. 国土地理院地図にはしっかり載っている. きっと, 工事用道路になる前はキャンプとかで河岸に近づけたのだろうか. 特に奥に進んでもわかりきった結果が見えるので, 引き返す. ちなみにストリートビューで見ると,
このように変なガードレールのふさぎ方をしていたようだ. っと, 看板があるみたい.
ほら, やっぱそうだ. こんどはこのストリートビューで見れば奥の方の道を行く.
ここも道は汚いし, 見た目よりもずっと激坂である.
振り返る. 景色がどれほどボロボロになっているのかわかるだろうか.
大きなカーブ.
振り返る. この異様な光景が割と気に入ってしまった.
カーブミラーの近くの蔦にセミの抜け殻.
一通り上りきって, 振り返る. 急カーブの標識を見つけてうれしくなった. 道の奥は
このようにボロボロになっている.
ずっと進んでいけば現国道に突き当たるはずだ, というか突き当たっている. この奥を見に行っても仕方ないので引き返したのだが, 左奥に何やら道が続いているのが見えるだろう. これも例にもれず工事用道路である. ズームすると
ほら, ところどころ川への降り口がある.
ストリートビューで見てみると,
こんな感じである. 先ほどから挙げている景色と一致させるようにしているが, この荒れようがわかるだろう. どうやら現役時には高木が生えていたらしいのだ…
さ, 交差点に戻ろう.
後悔その1
交差点の右折方向に関しては, あまりにも不動大橋からバレバレすぎるのと, 奥に進んでも工事用道路が見えるだけなのと, 時間が迫ってきているので, 簡単に橋を渡るだけで終わってしまった. 橋から交差点を見るとこんな感じ.
少しストリートビューを見たら, もしかしたらやっぱり橋を渡って奥に行った方がよかったのではないかという後悔が襲ってきたので, 冬に行く機会があったら行ってみたいと思う. 行けないままダム湖の底に沈んだら, その時は追記でストリートビューで追うことにする. 興味ある人は自分で調べてみるのはいかが. 最終的にはこの道は移設後の川原湯温泉駅付近に行き着くようだから, 今度は川原湯温泉から自転車を飛ばしてみよう. 早く冬来ないかなぁ…
旧国道を進んでいく.
渡橋
しばらく旧道を進むと,
忽然と左に分岐する道が現れる. そして, 奥に鉄橋が見えるのがわかるだろう. 旧線は一旦旧道と離れ, 斜面の上の方を走っている. ここを曲がれば間違いなくあの橋に近づけると思い, 坂を上っていく.
写真に収めていないのが腹立たしくなるのだが, 道はこの奥で途切れてしまう. 草だらけになっており, 何のためかはつかめない. 橋があるのは, この反対側(= 写真を撮っている側)である. 道がT字に分岐しており, そのもう片方側ということである.
その行き止まりとなった道だが, さすがにこの奥に首を突っ込む気はない.
開けた場所に出た. というのも, ここは旧線の路盤である. もちろんこの奥にあるのは, トンネルである. ここは頻繁に工事が行われているらしく, 斜面沿いにある旧線の少し下には重機が数台あった. そして, この路盤の変状を見ればわかるだろう. とても鉄路には見えない. そして, その反対側には,
立派なプレートガーダー橋である. 線路, 枕木はしっかりとはぎとられている. 以前, 奥多摩の廃線跡でも橋三昧で, ここよりもべらぼうに高い, 廃線になってからもっと経過している廃プレートガーダー橋を渡ったことがあるが, そこはまだ枕木とレールが残っており, 高さと経年のわりに怖さは少なかった. しかし, ここまでスッカスカだと, 怖すぎる. 幸い右に管理用の歩道があるので, そこを通っていった. さすがに久しぶりの渡橋で怖かったので, 渡橋中の写真, 動画はないのだが, どれくらいの高さなのかというと,
こんな感じである. そんな高くはないが, 落ちたら死ぬことに間違いはない.
それにしても
綺麗な景色だ. 現役時代にここを渡っていたら, もっと青々として壮観だっただろうか.
奥に見えるのはおなじみ不動大橋で, しっかりと人の目に触れてしまった…
では満を持してトンネルへ, と言いたいところだが,
建前 / 本音
トンネルは三連のようだ. 右には竹林, 左には鬱蒼とした蔦が絡む法面, 最高のビジョンではないだろうか.
ちらっと見える法面だが, 程よく苔むしていてすごくきれい. トンネルの線形もまっすぐだ.
トンネル自体は特に何の特徴もないので, 写真を撮らなかった. それと,
時間がなかったのだ. そのため, トンネルは一本通って満足し, 引き返してしまったのだ.
というのが建前. 本音はというと本当に情けない理由である.
オオスズメバチを見かけたので, チキって引き返したのだ.
とにかく僕は蜂が嫌いである. 刺すものが嫌いである. 注射も大嫌いである.
と弁明しておく. 冬なら通れるからリベンジさせてください.
今思うと本当に情けない. こんなんで廃道好きとか矛盾, 虚言にもほどがある.
本当にどうしようもない終わり方だが, キリがいいので今回はこの辺で終わりにする.
次回は,
本当に動物に出会ったり,
こんな風景に遭遇したり,
廃廃廃を拝むかもしれません.