廃道・廃線レポート ~国道145号旧道・吾妻線旧線区間 [10]~
大接近大迫力
さぁ, あとはダムに近づけるだけ近づくのみだ!
現在地は
https://www.google.co.jp/maps/@36.5522008,138.70668,16.96z?hl=ja
リンク画面中央, 八ッ場大橋の下を走る旧国道145号, まさに八ッ場大橋の真下だ.
ずっと思っているのだが, なぜいまだに旧道も地図に表記されているのだろうか?
八ッ場大橋をくぐってしばらくすると明らかに工事用道路と思われる路面が見えた.
もちろん休日なので休工である.
というのがこの県道238号から右に逸れたふらふらとした道である.
もちろんこの県道は消滅しており,
その右へそれる道もこのように前はアスファルト舗装があったようだが,
今は見る影もない.
右に逸れる道はその道ではなく, 単純に工事用に新たに設けた道だろう.
綺麗な道が右に上っているだろう, これが例の県道を改良した道だと思われる.
前回お伝えしたように, 旧線も国道, 県道に沿う形で敷かれていたため, 当然今は見る影もない.
振り返るとこのようになっている. 橋の上に何やらテントのようなものがあるが, それがバンジーの施設らしい. ちなみにすっかり僕らは丸見えである. そして, 自転車をそこに放置していたことが大問題となる. そもそも立ち入ることが((ry
さぁ, さらに近づくともう情報過多である. 正面にダムが見える. ダムの天端左側に見えるのがやんば見放台だ. あそこからはダムサイト全体の様子が見えるわけで, 本当に橋からも展望台からも見えてしまっているのである. さらには旧道, 旧道橋, 旧線橋も見えるではないか…, しかも相当に下った先ということは, 大分ここには土が盛られているということである. そして, 極めつけはダムを囲う斜面の木々の多さである. これらを切り開いて今のこの荒廃した土地ができているということだ. 極めつけは,
旧道橋に沿って奥を眺めていくと, ダムに差し掛かったところで, 旧道がブチ切れていることである. 目指すはもうあそこしかない!!!!
おぉ, 近づいてきたぞ. 旧線橋は先ほどと同様の理由でさすがに渡るのを控える. 本当に全く同じ構造だ.
https://www.google.co.jp/maps/@36.5553916,138.7106867,17.67z?hl=ja
この二本に分かれた橋が目の前に見える橋に相当するようだ.
これは上路式アーチ. さっきの片側通行のやつと構造も色もそっくりだ.
どんどんダムが近づいてくる.
もちろんここはクレーンが見える通り, 絶賛工事中だ. しっかりとこの橋は活かされている. 時間の問題ではあるのだが.
渡る気持ちはこらえるのだ, 僕よ.
結構わたりたかったのを我慢していたのか, 同じような旧線の写真がたくさんあった.
振り返ると八ッ場大橋だ. 左側の砂丘のできそこないみたいなのから降りてきた.
壮観壮観. 法面を覆う蔦が力強い.
しばらくは土だらけの景色だったので, 新鮮に感じた.
橋を渡りきって左を見る.
あっ…, トンネル. しかも出口が見えなくてすごくいい…
さぁ, ストリートビューの出番だ.
https://www.google.co.jp/maps/@36.5560929,138.7099078,17.7z?hl=ja
地図で見るとこう. 二つに分かれた道(橋)の左に, 一本の道が伸びている. それがこの道の正体. つまるところ, 町道か何かだろう, という推測はできていたが…はたして.
まあ, わかっていましたよ, 工事用道路ってのは. だって太い泥っぽいタイヤの跡が明らかにトンネル内から来てるし. ただ, なぜここに映る車はさもトンネルから出てきたような感じを醸し出しているのか…, 転回でもするつもりだったのだろうか.
肝心のこのトンネルの本来の用途だが, ただ単に町道から旧国道へ抜けるためにうがいたトンネルらしい. それがわかった以上, 通行することはしなかった.
そしてもちろん, トンネルの右を向いた景色がどうなっていたか, 気になってしょうがないはずだ. 上の写真では, トンネルを渡った先はダムがどっしりと谷に構えている.
ではかつてここが現役だったころ…
そう, ストビューに標識が見られるように, この一帯は吾妻峡と呼ばれ, 川に沿って断崖が続く. この旧国道145号はその断崖に平場を設け, 道を結んでいたのだ.
ちなみに振り返ると
この景色だ.大体
この景色と一致するのだが, これに何を思うか. (斜めに撮ってしまって申し訳ない)
さあ, ダムの目の前だ. あまりの大きさに, 「すげぇ…」という独り言ばかりつぶやきながら, カメラを構え, 徐々に歩み寄る.
右のプレハブは工事事務所だったり, 簡易トイレだったりである.
ダム堤体にはコンセントのような3つの吐水口があるが, これはそれぞれ上側がオリフィスゲート, 下二つがコンジットゲートである. 穴だけでなく, 一番上にあるゲートも吐水口で, これはクレストゲートと呼ばれる.
一番上のクレストゲートは非常用洪水吐としての役割を果たし, 洪水でダムの水位が異常に高くなってしまったときは, ここから水を吐き出し, ダムを越えて水が流れてしまうのを防ぐ.
一番下のコンジットゲートは常時の水位調節用の吐水口で, 常用洪水吐としての役割を果たす. 真ん中のオリフィスゲートもそれに準じるものだ.
写真で見ると全然大きくないように見えるがそんなことはない. 先ほど踏破してきた度のトンネルよりも大きいはずだ.
さぁ, どんどん近づいてきたぞ!!! 右上に白いガードレールがあるのが見えるだろう. あれはダムの堤頂に続く道だ. 自分たちが今とても低い位置にいるのがわかるだろう.
吐水口が大きく見えてきたぞ!!
ここから振り返って見える景色だ. この辺りの旧道をストリートビューで見てみよう.
大体こんな景色だったようだ. そもそも道路の脇に木が生い茂っているので, 遠くを見渡すことはできないが, それだけ木々が生い茂っていたということだ. 今残るのはセイタカアワダチソウ, エノコログサ, オヒシバ, メヒシバなどの雑草ばかりである.
直前にまたしても旧線橋があった. プレートガーダーの短い橋だ. つまり, 線路も旧道とともにダムに寸断されたのである.
さぁしかと見よ!!!! これがダムだ!!!!
といっても伝わりづらいだろう.自分と大きさを比較できるような画像を用意すべきだったな…
下には
このように少しだけ水が溜まっている. まだ貯水しているわけではないようだが.
この一番下のところから, ダムの堤頂までの高さは116mである.
つまり, 先ほどの写真に写るダム上端は, だいたい100m上にあるのだ.
素晴らしい吐水口.
斜面に旧線が走っていた路盤がうかがえるだろう. このように, ダム堤体にぶつかり, 突然路盤は終わりを迎える.
この動画が, ダムに最接近して撮影した動画だ. これならダムの大きさが伝わりやすくなっただろう.
この場所についてだが, 当然この範囲は洪水期, 常時関係なく沈んでしまうところである. つまり, いわゆる既設のダム湖を見たときに, この風景が水面下に潜っている, ということであるが, この写真の貴重さがお分かりいただけるだろうか? そもそも貯水したときにダムの吐水口, 最下部のコンジットゲートが顔を出すということはめったにない. 後に貼るダム見学の説明にも書かれている通り, ダムが完成したら, 一生入ることはできなくなるのだ. もうすぐである, 一年後には沈んでしまうだろう. そんな場所を踏みしめていることに大きな達成感を感じた.
一般人が完成前のダムの上流面(貯水池となってしまう側)をこうしてまじまじと見ることができる, 立つことができるというのは非常に稀有なはずだ.
侵入者僕
こうして僕らは満足げに踵を返すのだが, ここで大問題が発生した.
僕らは長野原草津口からゲートを超えてダム堤体にやってきた人間なので立ち入ってはいけないことはわかっているものの, ダム堤体付近がどのようになっているのかをきちんと調べずに来てしまったのだ. というかまさかダムに入り込めるとは思ってもいなかったのだ.
探索日は日曜日, このリンクを見てほしい.
「1.湛水地内を巡るバスツアー」
この項目についてよく読んでいただきたい.
・日曜限定
・ダム堤体にバスで接近
何が起こってしまったかわかるだろう…そう…
ツアーバスが例の工事用道路から入ってきたらしいのだが, 僕らが置いてきた自転車により, 僕らの無断侵入に気づくとともに, 僕らの自転車はバスの通行の邪魔になっていたらしく, ヘルメットを着けた作業着のおじさんが降車して僕らの自転車を退かしたらしい.
僕らが100悪いことが明確なので, 観念し, 間違いなくおそらく立ち入ってはいけないだろうこと, 自転車が邪魔になってしまったことをとがめられるだろうと, ダム堤体に向かうバスのほうへ歩いた.
目の前でバスは止まり, そのヘルメットをかぶった工事関係の方がバスから降り, 注意を受けた. 長野原草津口から来たことを伝えると, 長野原のゲートを超えたんだろ? と確認され, ほんとに無断で入ったら犯罪ものだぞ~と言われた. なんか僕らのことじゃないように言われてるが, 僕らのことである.
もっと大ごとになると思っていたが, そうでもなかった.
ただ, 人に迷惑をかけてしまったというのは本当に反省すべき点である. 立ち入り禁止区域に入る以上は, 全て自己責任である. その地の他人に命の心配などをさせてはいけない. こんな簡単な文言で片付けられるような話ではないのだが.
そんなこんなで, 僕らはバス内のツアー客から冷ややかな視線を浴びながら, 工事用道路を上って現道に復帰するのだった.
一枚目にはバス, 二枚目には関係者の方と橋を渡るバスが見える.
ちなみに, ダム付近の工事用道路の入り口には, バリケードと, 注意書きと, 監視カメラ, 及びその警告と, 万全な警戒態勢を敷いていたようだ. 僕らは廃な部分から入ったので, うまいこと潜り抜けてしまったのだろう…, それに, ふつうそんなところに入る人間がいるはずがないのだ.
とにかく, このように人に見えてしまうところに入ってしまうということは, 迷惑をかける可能性があるということだ. 自己責任で立ち入っているから気にかけなくていい, で済む話ではないのである.
注意を受けたところで今回は終わり.
次回が最後になる気がしますが, 次回は探索後の駅に向かう道や, ダムの影響を受け, 移転した郵便局や駅について, そして話したりなかったところがあったら追記していきたいと思います.